移植医療専門パパナースマンblog

認定レシピエント移植コーディネーターの僕が、臓器移植に関する正確な情報をできる限りわかりやすく橋渡しします。時々、家族やサッカー雑記など。

【論文】腎移植レシピエントにおける自己管理の課題と支援の必要性

 

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こんにちは、ちびパパナースマンです。

さっそくですが、この記事の信頼性を担保するものを簡単に下記に示します。

  • 看護師歴:15年
  • 認定レシピエント移植コーディネーター歴:5年以上(専従)

こんな感じで毎日精進していますので、それなりに信頼性はあるかなぁと思います。

 

 

⬜️僕自身の研究テーマのひとつをお伝えします。

研究テーマ:『移植臓器長期生着のための自己管理行動継続への具体的な支援策を見い出す』....(ちょっと改変してますが)

 

Clinical Question(日頃からの疑問・・・)

自己管理行動が継続できない要因として、レシピエント(患者さん)にばかりその責任を押し付けるような対策(これを"指導"と勘違いしてるコーディネーターや看護師が多い)ばかり作るんじゃなく、もう少し内側...僕たち医療者側に何か責任があって、出来ることがあるんじゃないかなぁって思い続け、Research Questionへと落とし込み研究を進めています。

 

(補足)

レシピエント➡️臓器や骨髄をもらう者

ドナー➡️臓器や骨髄を提供する者

 

なぜいきなり自分アピールのような研究テーマの話をしたかと言いますと....

今回はですね、レシピエントとなってから長期になると誰でも訪れるであろう自己管理行動実施程度の低下(定期的な通院や服薬アドヒアランス、感染予防、身体的・心理的・社会環境的側面から考える様々な自己管理行動)について、自己管理行動の継続が出来る/出来ないは患者自身だけの問題ではない!ってのを示してくれた論文を紹介したかったからです。

 

論文紹介のまえに、まずは自己管理行動継続に関しての過去の論文をチョチョっとどうぞ...。

▶︎腎移植は他の腎代替療法と比べて心血管合併症の発生率が低く、高い生活の質(QOL)をもたらす治療法である。

▶︎近年、腎移植レシピエントにおける移植腎の短期的な生着率や生存率は向上してい

る。

▶︎しかし、ノンアドヒアランスなど非免疫要因による移植腎障害により長期生着には難渋していることから、今後は長期生着の成績を向上させることが課題である。

▶︎移植臓器の長期生着のためには、定期的な通院や服薬アドヒアランス、拒絶反応や感染予防対策、身体的・心理的・社会環境的側面から日常生活における自己管理を網羅的、継続的に行うことが有用である。

▶︎一方で、腎移植後経過期間の長期化に伴い自己管理行動の実施程度が低下していることが明らかにされている。

 

上記までは明らかにされているが・・・

       ⬇️

▶︎移植医療における自己管理行動全般の実態調査はあるが、レシピエントの長期的な自己管理行動継続には何が必要なのかについての検討は移植領域の文献では見当たらなかった。

 

そこでさらにキーワードを絞って深く検索すると・・・

       ⬇︎

▶︎精神科看護学の文献より、患者満足度調査により医療の見直しを行い続け、患者の求める医療に近づけることで満足度向上に繋げ、患者-医療者間の意思疎通を図っていくこと。そうすることが、患者自身が「主体的に」自己管理行動の継続へ向かう動機づけになるという報告がありました。

        ⬇︎

⬜️ここから僕は、「ほらやっぱり〜〜。オラの仮説が立証できるかもしれへんや〜ん!」って自己陶酔しながら研究を進めてた矢先に、今回の論文に出会いましたので共有しようと思いましたとさ...m(_ _)m

 

 

というわけで、論文をざっくりと紹介します。

Self-management challenges and support needs among kidney transplant recipients: A qualitative study.

✅今回の論文:腎移植後レシピエントの自己管理と支援についての課題報告。

✅2018年、オランダの研究者らによって報告されました

 

以下、論文紹介と解釈です。

 

www.ncbi.nlm.nih.gov

  

 

目的

✅自己管理の課題を検討し、レシピエントが経験したニーズをサポートする。

 

 

背景

✅レシピエントは自己管理において積極的な役割を果たすことが期待されている。しかし看護師は、自己管理の継続支援に難渋している。

✅レシピエントが日常に取り入れるためのツールばかりでなく、看護師の視点にたったより深い洞察力に焦点をあてることで、看護師主導の自己管理支援の妥当性と有効性を見い出セル可能性がある。

 

 

方法

✅対象は、オランダの大学病院で治療を受けた腎臓移植レシピエント41人により実施された。内容分析にはDCA解析を使用した。

 

 

結果

✅移植後の課題には、専門家になること、日常生活の活動を調整すること、医療計画に対処すること、看護師との関係を築くこと、社会的影響に対処することとされた。

✅これらの課題に対処できるようにするために、対象者は疾患特有の知識と指導を受け、他の患者と個人的な経験を共有したいと考えていました。

✅医療だけでなく、感情的、社会的問題についても、看護師と共有し、話し合い、積極的なフィードバックを通して励まされたいと思っっていました。

✅看護師らの教育は、彼らのニーズを満たすのに不十分であると考えられていました。

 

 

結論

✅移植後、レシピエントは医学的、感情的、そして社会的課題を扱う上で様々な課題を経験していました。

✅看護師からの現在の支援は、レシピエントたちの感情的および社会的支援のニーズを見落としていました。

✅看護師は、レシピエントの自己管理支援のニーズを満たすことができるようにするために適切なトレーニングが必要とされた。

 

 

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Point !

✅自己管理の継続ができない理由は、レシピエントとその環境だけが問題ではなく、我々移植コーディネーターや看護師の関わり方にも問題がある。

✅僕たちの関わり方や声のかけ方、口調や声のトーン、表情や目線など、それらも全て含めてプロとしての患者さんへの対応の仕方を改善することによって、自己管理行動継続の一助になる。 

✅自己管理の中で重要な食事管理。小児移植だけでなくどんなレシピエントにも野菜不足の傾向がある。野菜不足を補うための1つの手段としてはサプリメントも選択肢に入る(※ただし主治医の承諾は必ず得ること)。

野菜不足による食事バランスの崩れや、飲みやすくアレルゲンが少ない安全面が認められている「こどもフルーツ青汁」をオススメする。

詳しくはこどもフルーツ青汁の効果を解説!野菜不足の食物アレルギーっ子より | 家族リフティングの記事に書かれていますのでぜひ読んでみてくださいね。

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