現代の臓器移植の課題と、異種移植の可能性
今回は、2019年3月4日にオンライン公開されたばかりの、ほやほやの論文をサクッと紹介します。
論文紹介に関する私の見解をaboutページに載せていますのでご参照ください。
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●臓器移植の歴史を示しながら、現代の移植医療の課題を示した報告です。
背景
- 臓器移植は現代医学において最も進歩した医療の一つであり、末期疾患の患者にとって移植医療は生存の唯一の機会を提供する。
- 臓器移植の歴史は、医療のあらゆる面に影響を及ぼしながら進歩している。
歴史
- 臓器移植の研究がより体系的になり、より文書化されるようになったのは19世紀の終わり頃である。最初の動物モデルはこの時代に開発されました。
- さらに20世紀初頭、フランスの外科医Alexis Carrel(後に米国に移住)が血管吻合のための新しい方法を開発した。
- 1912年、Alexis Carrel博士は血管吻合および血管と臓器の移植に関する研究で、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。
- 最初のヒトからヒトへの移植は、1933年にウクライナの外科医UU Voronoyによってソビエト連邦で行われた。
課題
- 臓器移植の分野には多くの課題が残っている。
- 主な課題は、臓器需要と臓器利用可能性間の不均衡である。
- この問題を克服するためには、拡張基準移植片(ECD)を用いた移植、心臓死後の移植(DCD)などがあげられる。
- その他の課題には、周術期の患者ケア、移植片の生存、および免疫抑制プロトコルの最適化があげられる。これらの分野でいくつかの進行中の研究があります。
- 個々の臓器の移植に関連した具体的な課題がある。
結論
- これらの課題に対し、以前から存在する異種移植によって臓器保存に関連する多くの問題の解決策になるかもしれないと関心が高まってきている。
- しかし異種移植には多くの未解決の生理学的、微生物学的、および免疫学的問題が残っている。
まとめ
- 異種移植は日本ではまだまだマイナーですが、移植学会では必ずセッションが設けられており、活発な議論がなされています。
- 異種移植は、臓器移植先進国においても報告にもあるように問題・課題が山積みです。
- 今後のこの領域における進歩と倫理を見守っていく必要があります。
下記に、原著論文の批判的吟味をしたブログも貼っておきますので、ご一緒にどうぞm(_ _)m